ベランダに残る午前の光

午前。
ベランダに出て、手すりに肘を置く。
洗濯物はまだ触らない。
風だけが先に動く。
床に落ちた影の形を見ている。
スマホは裏返したまま。
画面を見ない時間が少し続く。
指先が冷える。
それに気づいて、肩を一度すくめる。
呼吸の速さは変えない。
昔は、こういう時間を短く切っていた。
用事を足して、区切りを作っていた。
守るための反応だったのかもしれない。
今は、判断を置いたままにする。
洗濯ばさみの位置は同じ。
影の角度だけがわずかに変わる。
立ち位置も変えない。
この配置が続く。
時計の表示が一つ進んだのを見て、姿勢だけが残っている