夕方。 玄関に立つ。 外の音が一度だけ入る。 靴を少し前に出す。 戻す。 同じ角度で止める。 ドアノブに触れる。 すぐ離す。 手のひらがわずかに熱い。 出ないことで保ってきた反応がある。 境界を越えない選び方。 それが必要だったかは触れない。 靴の位置は変えない。 ドアとの距離もそのまま。 この並びが、まだ続いている。