夜。 交差点の手前。 白線の端に足がかかる。
信号は赤。 車の音だけが流れる。 渡らない。
手をポケットに入れる。 指先が少し固い。 体重を左右に移す。
昔も、止まるほうを選んでいた。 動かない反応。 守るためだったかは決めない。
肩がわずかに沈む。 呼吸が一度だけ深くなる。 視線は前のまま。
そのまま動かず、数分が過ぎていく気配だけが残る。