深夜、交差点の手前で

深夜。
交差点の手前に立つ。
信号は赤のまま。
白線の端に靴先を合わせる。
通りの音が一定で流れる。
遠くのエンジン。
近くの足音。
どれもこちらに触れない。
スマホを持ち上げて、戻す。
画面は見ない。
肩の奥が少し固くなる。
呼吸だけが遅れている。
以前も、こうして待っていた。
選ばないことで距離を保つ癖。
それが身についたまま、今も残る。
信号の表示が変わらない。
立つ位置も変えない。
視線だけを下げる。
動かないまま、深夜が続いていく。